今回はロス率についての質問が多いので説明をさせていただきます。
式で表すと、ロス率(%)=ロス金額÷売上金額×100です。
しかし、各項目にはいろいろありますね。
私が使用しているのは、ロス金額は廃棄した商品の金額(売価)で、売上金額はロスが出る部門の売上合計金額(売価)です。つまり12,000円(売価)の金額のロスに対して、該当売上が140,000円あるとしたら
12,000÷140,000×100=8.57%ということになります。
ロスが出る部門はFF・パン・デイリー等チェーンによって分類は異なりますが、とにかく廃棄ロスが出る部門の売上を指します。
このロス率も季節(時期)に応じて目標数値を変更します。
売上が伸びる、或いは伸ばしたい時期にはロス率は12%、普段は10%、そしてコンビニの売上が停滞、或いは縮小する時期には8%で設定しています。
月でいうと4~8月(6月除く)が12%、12~2月が8%、それ以外の月が10%と。
実際に月の中でも初旬・中旬・下旬、或いは曜日毎に設定を変えてますが、難しくなるので、それはまた別の時に説明します。
今はコンビニにとって売上が上伸、また伸ばす時期ですので、12%くらいのロスが出ても良いと考えています。ただし全体、合計の話であり、単品毎は別の話です。
店売上に対して2%とかの設定の話もありますが、店により売上構成比が異なり比較が難しいことと、伸ばしたい、伸ばすべき部門を明確にするということで上記の指標を使っています。
*P/L(損益計算書)でのロス金額は原価を使用しています。売価×原価率(約70%くらい)で計算しますね。
時代によって、単品管理の意義が違ってきます。
バブル時期でしたら、何でも売れるので、とにかく高額品を切らさないように調達することがメインです。
しかし今のような厳しい時代になると、お客様もお金にあまり余裕がなく、必要なものしか購入されません。いくら多くの商品を並べていても、売れる商品は限られます。
こういう時代だからこそ、最寄品、恒常商品を扱う業態は安定しています。コンビニもその業態の中の1つです。確かに価格の安いものを求めるお客様もいらっしゃいますが、そのようなお客様は一部です。商品選択の基準は安全・機能・耐久性・味・鮮度・ブランド・サイズ等様々です。
こんな厳しい時には必要以外のものは買わない、つまり死に筋が増える。逆に万人にとって必要な商品は特定する、或いは集中する。ということは売れ筋が明確になり、さらにその売れ筋がますます売れる傾向にあるということですね。単品管理にとってこんなに分かりやすい時代はないのです。1品1品、そして小分類⇒中分類⇒大分類⇒店全体という分析の積上げと横断的分析をすることで、単品の動向+お客様の買物行動の関連性や方向性が見えてきます。
決して難しいことではなく、思い込みや先入観を取り払い、素直にデータを見る。そしてお客様の立場に立つコツさえ会得できれば、いろいろ見えて来ます。
立地が全く同じ店はありません。いかに自店のお客様に合った品揃えを実現するか。ますます単品管理の重要性が高まります。単品管理は発注に留まるものではありません。店の品揃えを最適化し、或いはチェーンの商品政策決定の裏づけ、さらにはメーカーでの商品開発の根拠となるものです。
単品管理とマーケティングの2つがあれば、商品開発から企画、製造、販売促進、物流、販売へと実現できるのです。ここでもう一度単品管理の必要性と重要性を認識してみましょう。
コンビニはアイテムが徹底的に絞り込まれています。従って、同じ機能の商品で価格差をつけて並べる訳にはいかない、つまり品揃えは通常1アイテムに限定します。主力であるFF(デイリー)商品は品揃えに若干幅を持たせていますが、他の分類では徹底的に絞り込みが行なわれていますね。
コンビニでは、ほぼ1つしかないアイテムを有効に活用して、様々なシーンに対応していく。そのために商品の選択基準の1つであるである高級或いは高額をまず外します。そして最低の機能を果たせば良いというくらいに商品の選択も割り切って。もちろん安心安全は当たり前です。
でも余計な或いは複数の機能を持たせて価格を上げたり、複数のアイテムを揃える必要はないのです。
例えば、今の季節は全国的に乾燥しています。こんな時は唇の乾燥を防ぐリップクリームが売れます、これもただ乾燥を防げば良いのです。専門店やドラッグストアのように、化粧や日焼け止めの機能はなくても唇の乾燥を防げれば良いのです。
そして傘、今月末からまた売れ出しますが、コンビニの傘は壊れても良い、なくなっても構わない、とにかく今の雨をしのげたらOKなんです。
今後売れてくる日焼け止めも、その日の日焼け止めをなんとか防げればOK。もしより高い機能や肌に合うものを考えたらなら事前にドラッグストア等で準備するはずです。
このように考えるとコンビニはあくまでコンビニは緊急というか、その場しのぎでできれば「可」なんです。ずっと継続して使うものはコンビニにはあまり求めない。だからこそ、1つしかないアイテムを切らすことは致命的ですね。
*雑貨や食品系でNBとPBがあるのは、比較購買と値入高政策のためです。
POSデータを分析し、自分の立てた仮説を検証する。単品管理では当たり前の話です。
仮説通り売れた、品切れした、廃棄が出たと、数字(データ)上で、その理由がつかめたならOK?
もしそれでOKでしたら、自動発注システムで置き換えれますよね。でもそうならない所が面白く、やりがいがある。本当の単品管理こそ、実はコンビニ競争で生き残る鍵なんですよね。
データ上の数字に影響を及ぼす要素は多数あります。この多数の変動要素を機械に載せてもうまくいきません。学問では多変数解析というのがあり、分析はできますが、やはり単品管理ほどの精度の高い予測はできません。また発注では、予測ではなく、仮説という言葉を使うのは、数字の裏づけとなるお客様の購買行動や心理を考えるから仮説なんですね。
本当のデータ分析とは、数字の変化を捉えるのではなく、お客様の変化の結果を数字として捉えているのです。あくまで発注する対象はお客様という生き物であって、数字ではないのです。
ですから普段からお客様の買物行動を観察しましょうという訳ですね。
このGW中は日(曜日)や時間帯により、短期間で様々なお客様の購買行動が見られます。できるだけレジに立つ、或いは検品・品出し・陳列に参加し、お客様の購買行動を見せていただきましょう。
休日はP&Aがなかなか集まらなくてシフトが大変だとは思いますが、逆に店のオペレーションに関わる時間が増えるので、この機会を大いに活用しましょう。
売上は上がらなくてもロスを減らせば粗利益は増える。当たり前であるがなかなか認識されない話。
商いとは儲ける、つまり利益を上げることが目的であり、売上を増やすことは目的ではない。より多くの利益を上げるために売上を伸ばすことはあっても。しかしコンビニ経営者を含めて多くの人が、売上を増やさなければ利益が増えない、或いは売上を増やさないと商売はやっていけないと考える傾向にある。
商いとは「売上」だけでなく、「仕入れ」「在庫」「値入」「粗利益」「営業利益」等いろいろな要素で構成されてます。この各要素を一番効率良く動かし、少ない投資で最大の利益を得ることが肝要です。
ですからいくら、在庫が多くても「死に筋」ばかりでは売上に繋がらずロスばかり出て、利益がなくなってしまいます。売れ筋だけのロスのない在庫は、店の利益を生み出し、かつお客様にとっても便利な店になるのです。
GW真っ最中の今、おにぎりのキャンペーン等盛んです。
今は単品が最も良く売れる時期です。おにぎりの発注数も通常の祝日の数倍に増やしている店もあるでしょう。そんな時は陳列位置や面積配分も変更します。
おにぎりが最上段ということは絶対的な決まりではありません。もし発注数を大幅に増やすなら、棚枚数も2⇒3枚へと増やし、陳列位置も手に取りやすい位置に集中する。具体的には2段目以下におにぎりを大量陳列するのも良いです。とにかく売れる時に売れる商品を徹底的に売った方が勝ちなんですね。
在庫数やお客様の動きを見ながら、陳列変更を大いにしていください。決して売れ残りのような悲惨な売場を見せないように。普段は来店されないお客様も多く来店され自店をPRするチャンスですから。
なお天候を見ながら発注しますが、ロス率はFF(デイリー)売上対比12%くらいの強気の発注をしましょう。
今年のGWは前半が4/29~5/1、後半が5/3~5/5と前回話しました。そこで5/6~はどうなの?ということですが、大規模工場依存型以外は通常の発注に戻して良いと思います。すなわちGWはほぼ終わっているということです。
また連休は、今年の場合、5月の3日~5日では最初の3日と最後の日5日が強く、つまり客数が多く、中日の4日は3・5日に比べて客数が少ないと予測されます。ただし天候が同じという条件の下での話です。
初日の3日に雨が降れば、初回のピークが4日にずれ込み3日よりも4日の方が客数が多くなることあります。
こんな仮説はどこから来るかというと、やはりお客様の動きから来るのです。連休の初日に出かける人は比較的多く、5日の最終日は連休最後でもあり、子供の日でもあるので人出が増えます。
また5日の夕食は外食が多く見受けられ、コンビニでも家族分の弁当を購入したりする傾向があります。みんな、お疲れ或いは時間を短縮するため、簡単に夕食を済ませる傾向があるのでしょうか?
こういう仮説を持って発注し、実際のデータを検証する。そして当っても外れても原因を追求し、今後の発注に活かすのです。これからも3連休や飛び石連休もあるのでデータ(単品動向とお客様の購買行動)を蓄積しましょう。
ここでおさらいを。まず自店の立地を確認する。土日が強いのか?平日が強いのか?それともどちらも強いのか(平日と休日の来店客は異なるが、どちらも客数がとれる店)?
つまり自店の来店客の動向を確認しておくことですね。その動きをカレンダーに合わせて、予測し単品毎に発注するのです。なお参考ですが、現場系のお客様は日曜日は休みですが、祝日は働いていますので。たぶん日給月給制だからかと思いますが。
GWの対応には主に2つの型があります。
1つは郊外・行楽立地等の土日祝日型、こちらはGWに客数が伸びる立地です。
もう1つはオフィス・事業所・学校等の平日型立地です。こちらはGW中の客数は普段より減る立地です。
客数の増減に伴い発注を増減させる必要がありますね。減る場合も増える場合もどんなお客様が増減するのか仮説を立てて発注数を変更します。もちろん客数予測に買上率をかけて販売予測数を求めます。
今回はFF(デイリー)商品の発注を増やす場合の注意点を。
カレンダーから、今回のGWの人の動きを予測します。今年は前半が4/29日から5/1、後半が5/3~5/5と2つに分かれる可能性が高いと。
行楽立地では、5/2だけが金曜日発注、5/1・5が日曜日発注、4/29・30・5/3・4が土曜日発注でしょうか。
ここでいう、金曜日発注というのは、3便強化型、土曜日発注というのは、1~3便全て強化型、日曜日発注というのは1・2便強化型を指します。また、発注数だけでなく、それぞれ納品便に合わせてカテゴリーの強弱もつけます。
具体的な発注としては
①日毎の客数予測をする
②カテゴリー(中・小分類)毎の予想売上金額を出す
③予想売上金額÷平均単価で予想販売個数を出しておく
④予測客数に曜日別買上率をかけて、販売予測数を出す
⑤予想販売個数と販売予測数を照らし合わせて修正する
⑥修正後の販売予測数を便別に分ける
⑦便別単品別発注に落とし込む
⑧確認の上細部修正(品切れ減らす分の発注数をプラス)
少し分かりにくいとは思いますが、通常であれば、客数予測をして、同曜日の買上率をかけるだけですが、GW期間中は、買上率シートの過去同曜日データが使えません。そこで客数予測の後に曜日別買上率データを使うのです。さらにそれだけでは偏りがあるので、予想売上から予想販売個数を求めておいてチェックに使うのです。②③⑤が通常にはない作業です。簡単にいうと単品の積上げと合計からのブレークダウンの両方を使うということです。なお、こんな手のかかる発注をするのはGWとお盆、年末年始くらいですね。
参考にできそうな場合は参考にしてください。確実に売上をとれ、ロスも減らします。
本当はさらに重要なポイントがありますが、難しくなりますので、今回の話をマスターしてから、つまり次回に説明します。