以前、在庫は年間を通して、ほぼ一定という話をしました(年間で最も売れない1月~2月中旬は少し減)。
これからは新商品発売ラッシュの時期です。また、新商品の発売アイテムは週によって前後します。
毎週、案内あるアイテムを全て導入していたら、売場が満タン、在庫も満タン、挙句の果てに売れない商品が満タンになってしまいます。
結果、死に筋満タンですので、売上減少、値下げ販売増加、粗利益の減少になります。さらに商品の入替が進まず陳腐化した売場になります。
売場管理の中で在庫管理では重要です。
何度も言いますが、新商品は選んで導入が原則ですね。さらに1アイテムカットしながら、1アイテム導入が原則です。定番以外は、カット数=導入数が継続できることで在庫が一定に保たれるのです。
しかし売れそうな(?、売れると思われる)新商品が多い中で、導入しないアイテムが多いのは不安だと思います。
でも安心してください。新商品は①最初売れ筋、すぐ死に筋になる商品と②最初から死に筋商品があります。
死に筋はパスして、売れる新商品だけの導入で十分、利益と売上は稼げるのです。
それでも不安という方へは、少し妥協して(笑)、本来、カット&導入の原則は1対1ですが、この時期は1:2でもよいでしょう。例えば、5アイテムカット、10アイテム導入です。
ただし、ほぼ定番だけの十分に絞り込んだ売場であることが前提です。
この定番だけの絞り込まれた(私の表現ではお腹のすいた売場)では、定番のフェイス数縮小で新商品のフェイスも確保できるはずです。
もし絞込みが十分でなければ、カット:導入は2対1.5くらいでしょう。3アイテムカット2アイテム導入と。
カット中心に導入を進めてください。
冬物および売れにくい商品のカットは進んでますか?
1月から「迷ったら発注をストップ」作戦で、売場に余裕が出てきたかと思います。
2月中旬から3月上旬は春物がたくさん発売されます。
どんどん死に筋を排除し、売れ筋の導入準備をしてください。
もしフェイスが空くようでしたら、売れ筋のフェイス拡大で対応します。
売れ筋は、3~5フェイスとっても心配ありません。逆に売れない商品を導入して売場を塞いではいけません。
何よりも効率です。狭い売場で商品をどんどん回転させて利益高を稼ぎましょう。
前回は客数の予測から発注数を決める話をしました。
分かりにくいかと思うので、具体的な数字で説明します。
例えば、今週の木曜日の発注をします。
①今週の木曜日の客数を予測します。
先週が655人、その前の過去2~9週の平均が647人とします。
平均すると651人。これが今週の木曜日の予測来店客数です。
*予測客数の算出方法は、移動平均でも、単純平均でも良いです。
自分の使いやすくて信頼のおける出し方がベストです。
またデータを使用する期間の長さも4週以上でしたら任意の週でOKです。
②予測客数に買上率をかけ、実際の販売予測数を出します。
なおカテゴリー(分類)毎の買上率は平均せず、各月で固定した方がよいです。
今月の木曜日のおにぎりの買上率が18.3%とすると
651×18.3%=119個、これがおにぎり全体の発注個数合計です。
これを単品別に落として発注していきます。
③品切れ時間の早い商品は発注数を増やし、ロスが出ている、または、売り切れ時間の遅い商品は
発注数減かカットです。
通常、FF等のデイリー商品の発注数は
前週と直近のデータを見て決める人が多いですね。
チェーンによって発注画面は異なっていますが、
私が薦めるのは、発注画面とは別に簡単なシート(エクセルで良い)を
使い、過去の週別・曜日別の客数を元に納品日の予想客数を出し、
その客数に各カテゴリー(分類)毎の買上率をかけるものです。
出た数字に、機会ロス撲滅分の数量を加えればOKです。
FF・パン・惣菜等のデイリー商品の発注の基準となるのが曜日です。
お客様は曜日に基づいて行動されています。
例えば、日曜日は休みで、月曜日から仕事或いは学校へ行くと。
店毎に来店されるお客様の傾向(購買行動)は、ほぼ一定です。
ですから曜日毎の客数や分類毎の販売数を継続して分析することで
今週、或いは次週の予測ができます。
さらに季節や月毎の傾向値を加味することで、より正確な発注ができるのです。
商圏の調査は済んでますか?
店の周辺の事業所や学校、競合店(コンビニに限らない)、そして各種施設等。
たとえば、中小企業が多いと、昼用の弁当が売れると考えられます。
しかし、社員食堂を持った外出禁止の大企業では、昼用の弁当の売上は見込めない。
これは1つの例ですが、周辺を知ることで、データの背景が見えてきます。
商圏の項目と季節・気温・曜日・時間等、それぞれ合わせて分析することで
データの詳細が見え、発注に活かせます。
もう1つ例をあげると、近くに中学校があり、春や夏休み、或いは通常でも、部活後に
米飯やパン、ドリンクの購入がある場合があります。
これも時期や曜日や時間帯と単品・カテゴリーの売上数を見て推測できます。
データには必ず根拠・背景があります。これを確認することで、発注が正確になり、
つまり販売数増とロス減少が実現するのです。
POSデータは、先入観や思い込みをなくして分析します。
自分ではなかなか気づかないですが、ほとんど、先入観や思い込みで分析しています。
忙しく時間が取れないのも1つの要因ですが、人間は、自分の考えが正しいと思う頭の構造になっている。
つまり自分の考えが単純に、正しいと思い込んでしまい、そこで思考が停止してしまうのです。
具体的には、おにぎりがいつもより2時間も早く、品切れした場合に、
発注数が少なかった、まとめ買いがあった、客数が多かった等、いつものパターンで原因を探します。
しかし、学校で発表会があったとか近所でフリマがあったとか、情報収集と対策の出来てないこともあります。
いつものパターン発想で原因に至る前に、データをじっくり眺めて、何か変わったことはないか、探します。
違う人の目から見ると、違う原因が想定されます。レジに立っている従業員に訊いてもよいです。
新しい原因を1回に1個見つけたらすごいことです。実際は、原因不明で終わることがことが多いですが、
それでも何か他に原因があると、仮説を立て、対策を打ちます。
大変ですが、この繰返しと継続が店の利益の根源となるのです。
単品管理=お客様を知るということは、「単品管理の手順」をマスターすることです。
単品管理はあくまで手法・手段・やり方・フレームワーク、つまり道具です。
この道具の使い方をマスターし、お客様の立場に立った品揃えを実現することが目標です。
道具をうまく使いこなせれば、お客様(の心理や行動)が手に取るように分かってくるのです。
道具の使い方や熟練度は人によって異なりますし、また使い込むほど、熟練してきます。
このブログでは、表面的な評論家的な話が多いですが、実際の現場での指導は全く異なります。
単品管理という道具を使った上で、その店毎の具体的な話をします。
お互いにPOSデータを読み取り、お客様の捉え方を訓練します。
どの店でも、同じ日や同じ時間、同じ環境は二度と来ないので、その都度その都度データを分析して
手順をマスターできるよう訓練します。